ディレクターズワークショップ最終回に向けて③

佐々木です。
ディレクターズワークショップ(以下、DWS)について書いてきたこの連載も遂に3本目!(過去の記事→)
今回で僕が書くのは最後のつもりなんですが、この③では俳優枠についてあれやこれや書いていきます。
※そもそもDWSって何?という方は先にこちらをお読みください。

DWSは「演出家のための」ワークショップなのですが、参加演出家とともに共同作業を行う「俳優枠」の募集も行っています。「演出家のためのワークショップで俳優が何をするんだ」と思う方もいるかもしれません。その疑問にお答えすると、「稽古」と「上演」そして「批評・討議の場」への参加です。DWSは参加演出家ごとのチームを組んで稽古を進めます。初日の演出プランのプレゼン結果によりチーム分けされ、あとは4日間集中して「稽古→上演→フィードバック」を繰り返します。

「演出家のための」ワークショップですので、俳優が矢面に立つ場面はほとんどありません。フィードバック時の上演にまつわる討議はすべて演出家が請け負います。しかし俳優に責任がないわけではありません(当たり前ですが)。演出家の意図を理解する、理解できない場合には明確な答えがもらえるまで演出家に聞く。普段の創作現場と同じく(もしかしたらそれ以上に)「演出家と向き合う」「演出家とともに作品に向き合う」ことがDWSの俳優枠には必要です。

「演出家と俳優の関係」について考える場として、DWSはうってつけだと僕は思っています。既成戯曲を用いることで「書いた俺が言うんだからこの役はこうなの!」的な作演あるあるを言うこともできません。本を読めてなかったり演出プランを提示できなかったりする演出家に対して俳優枠が問い詰めることもDWSではざらにあります。本来稽古場では演出家と俳優はフェアな関係だということが、DWSで実感できると思います。そしてその上で、俳優の仕事とは何かを見つめ直す機会になります。演技プランの提示とか、戯曲読解が演出家任せになってないかとか。普段からできていたとしても、きっと何かしらの発見があるかと思います。

俳優のみなさんにDWSをオススメしたい理由はまだあって、これはもうシンプルに「30人以上の演出家が自分の演技を見る」という点です。会の特性もあり、DWSには演出家がごそっと集まります。(演出&演出助手枠はもちろんのこと、稽古場助手枠の参加者もほとんどが演出志望です。あと、運営チームもほぼ全員演出家です。)DWSの俳優枠でアピールすることが、その後の出演機会につながる例が過去に何度もありました。DWSで出会う→オファー→出演→最終的に劇団員になる、っていうこともあったくらいです。演劇のみに集中する濃密な4日間は、出会いの場・オーディションとしても優れていると思っています。(もちろん会の本義ではないので、あくまで副次的な効果としてお考えいただきたいですが。)

■セリフについて
俳優にセリフが入ってなくて稽古ができない。演出家は色々手をつくして稽古を成立させようとするけど、最終的には「早くセリフ入れろ」しか言うことがない。
「演出家のための」ワークショップなのに、こんな状況になることは運営として本当に耐え難いです。過去実際にそういう状況になったチームがいくつかあり、そのときは俳優をクビにして代役を起用しました。(簡単に切っていたわけではありません。それぐらいシビアでガチな会なんです。)
もちろん色んな状況がありそれが叶わない現場はままありますが、俳優が「事前にセリフを覚え、本を持たずに立ち稽古できるぐらいの状態で稽古場に来る」ことは当然だと思います。(同じように、演出家が戯曲を読んで演出プランを持ってくるのも当然だし、劇作家が締切までに本を書くのも当然なんです、本来は。)しかもDWSでは事前に課題戯曲を送付してセリフ覚えに十分な期間を担保しています。いいわけはできません。
が、それでもセリフを覚えてこない俳優がいるんです!なので申し訳ないんですが今回の最終回では、事前に俳優枠の皆さんを集めてセリフの確認を行います。DWSの円滑な進行のために考えた、我々の新たなチャレンジのひとつです。ご足労かけますが、セリフボロボロな状態を30人以上の演出家に見られる恐ろしさを経験せずに済むと、前向きに考えてもらえたら嬉しいです。

第6回DWSの応募締切まで残り1週間を切りました。マジでマジで俳優(特に男優)の応募を待っています。年末年始暇な俳優のみなさん、是非ともご応募ください!!

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